暦2ヶ月の道具でジャグリングの演技を作った話

先日e-juggling competition(以下ejugg)にフロウワンドの演技で出場しました。
その時の概要はこちら。

ジャグリング自体は2003年からしていますか、フロウワンドは2021年1月に始めました。スケジュール的には締め切りまで2ヶ月程度でしたが、どうにか形にすることができました。

↓ホントに2021年1月に買ったよっていう写真

↓ejuggの演技動画

 

今回は、歴2ヶ月でどのように構成(ルーティン)を作ったかを書いていきたいと思います。

短期間でジャグリングの演技を作る

今回の私の場合は2ヶ月でしたが、他の場合も比較的似た形式で演技構成を考えています。ざっくりやっていることを挙げると以下のようになります。

  • 技を覚える、作りまくる。
  • 曲と衣装を探す。
  • 構成を作る。

基本的にこれら三つを並行して進めていきます。流石これではざっくりしすぎているので、それぞれ説明していきます。

技を覚える、作りまくる

ジャグリングの演技を作る上で必要となるのは、何はともあれまずはジャグリングの技です。自分ができる技が多いほど、演技内で実施する技の選択肢を広げることができます。なお全然技をやらない演技も作ることはできますが、その場合はジャグリング以外の技術が必要になります。

例えば3個のボールの「シャワー」という技を演技内でやるとして、シャワー以外にできる技が10個の人と100個の人ではシャワーをやる意味合いが変わってきます。
シャワー+10個の技ができる人なら、現状できる技で演技を作ろうとしたと考えられます(違うかもしれない)。シャワーには技の選択肢が少なかったからという意味だけでなく、練習成果という意味が含まれるかもしれません。
またシャワー+100個の技ができる人なら、演技中に100個の技すべてをやることは滅多にないので、取捨選択した上でシャワーを演技内でやったと考えられます。それは演技の尺の問題なのか、雰囲気の問題なのか、単にシャワーが好きなのか…は人によって変わりますが、理由によってはシャワーをしたりしなかったりすると思います。

このようにできる技が多い方が演技に合わせて技を選択できるため、技の習得は大事です。また今回参加したejuggでは評価項目の難易度で技数も考慮されることが記載されているため、技が多い方が評価される点も技を増やしたい理由となります。

曲と衣装を探す

技を覚えつつ、演技用の曲を探します。道具の特性やできる技から雰囲気やテンポを考え、それに合いそうな曲を探していきます。今回は、フロウワンドを手に入れた頃に遊んでいたプロジェクトセカイの収録曲でイメージに合う曲があったため、それに合わせて演技をしようと決めました。

曲が決まるとおおよその雰囲気や方向性が定まってくるので、そこからイメージを膨らませて衣装を考えます。
今回の場合は、曲と道具のイメージとして「渋谷にいそうなサブカル系男子」をイメージしました。こんな感じ↓

衣装画像

曲からモノクロの哀しげなイメージを感じたのでこのようになりました。さらにアクセントとしてネックスレスを掛け、カラーワックスで髪の毛をうっすらシルバーにしています。

構成を作る

技のストックができ、曲が決まれば、そこから構成を作り始めます。

ざっくり構成の作り方をまとめるとこんな感じになります。

  1. 曲のココでこの技・動きをすると気持ちいい!という箇所を見つける。
  2. 1の気持ちよさを増すためにその周囲に肉付けする。
  3. 2までやってまだ空いている部分を埋める。
  4. 3で埋めるために足りない技を作る。
  5. 完成させる。

これ以外に、今回は演技動画を撮影しての大会参加のため映像構成なども検討しました。

1. 曲のココでこの技・動きをすると気持ちいい!という箇所を見つける。

いわゆる曲ピタに近いことです。曲と身体の動き・技がピタッとハマるとやる側も見る側も気持ち良いです。一例を挙げると今回1:27、私側から見て左上にフロウワンドを上げて腕を伸ばすところです。前述の服装のところで挙げた写真のポーズがそれです。

 

そこ以外にも、曲を聴きながら何箇所かいい感じの動きを考えました。

曲を聴いて、その後動く。というよりは、曲を聴きながらなんとなく身体を動かしてみて気持ちいい動きを見つけていくことが多いです。

2. 1.の気持ちよさを増すためにその周囲に肉付けする。

気持ちいい箇所の前後でモヤモヤしないためにも、1.の箇所の周囲の構成を考えます。
1.同様、結構即興で動いていたらしっくりくる動きが見つかることが多いです。今回は特に1番サビがかなり詰めていたので結構お気に入りの動きにできました。

3. 2.までやってまだ空いている部分を埋める。

気持ちよくするための肉付けだけでは全体の構成は作りきれないので、2.までで作れていない部分を考えます。今回は2番Aメロ〜がまだ空いていたのでそこを考えていきました。まだ登場させていない技から丁度いい技を選び、徐々に埋めていきました。

4. 3.で埋めるために足りない技を作る。

手持ちの技が尽きてくると3.のように構成を作ることが難しくなってくるので、新たに技を作ります。曲を聴いていると、そのイメージから動きや技を思いつくことがあります。その技を上手く組み込んでいきます。
今回の場合は最後のサビの部分、いわゆる火力技と呼ばれるような難易度高めの技がなかったため、曲の雰囲気や直前にやる技の流れから新しく火力技になり得るものを考えました。

5. 完成させる。

一通り技が埋まってきたら、実際に通して動いてみます。すると尺が余ったり足りなかったりする箇所が出てくるので、その辺をいい感じに調整します。そのためには2.~4.で作ってきた構成をガラッと変えることもありました。例えば、1番Aメロは最後のほうまでしっくりくる動きが思いつけなかったのですが、他の箇所を通しながら考えていった結果、紆余曲折しつつも完成させることができました。

また、最初と最後でスマートフォンを使った演出を付け加えていました。曲のタイトルと歌詞から携帯電話がキーアイテムだと思ったため、それを組み込むようにしました。比較的技術重視の部門に参加予定だったため、あくまでもアクセント程度の演出になるように加減したつもりです。
さらにカメラ(iPhone)は三脚を使わず床から斜め上を見上げるように設置することで、少し物悲しげな構図にできればと思いました。その恩恵で、動画終了時にiPhoneを床に寝かせることで画面をブラックアウトする演出も追加できました。フロウワンドは軌道を魅せる道具だとは思いますが、今回は軌道を魅せることを犠牲にして演出用の構図を優先しました。

ジャグリングの演技構成の完成

というわけで演技の構成完成です。といっても、完成後も通し練習中に何度も修正を加えているので最終的な完成は2月の中旬頃でした。

ちなみに初稿は1月3週目くらいに作成していました。せっかくなのでこっそりほぼ初稿の構成の動画を貼っておきます(投稿日も参照ください)。これと本番動画を比べるとフロウワンド自体の技術向上も感じられ、演出もかなり変わったのが分かります。

 

ざーーっと書きましたが、このように私は構成を作っていました。あくまで私の例ですが、何かしらの参考になれば幸いです。

さいごに

ここまでご覧いただきありがとうございました。結果的には「歴2ヶ月の道具でジャグリングの演技を作って大会に出た」という壮大なネタになってしまいました。やっている本人的にはめちゃくちゃ真剣に取り組んだんですけどね。。。

最後の一つ付け加えておきますが、歴2ヶ月で大会で耐え得る演技を作って演じるには、ある程度のジャグリング力と感覚を事前に身に付けておく必要がある可能性が高いのでご注意ください。

それでは。